楽しくって、しかもフムフムと納得させられる五味さんの講演会
めずらしい音楽活動の様子
ご趣味などがあったら、おしえてください。また、最近のご活動をお聞かせいただけますか?
趣味といっても特にヘンなご趣味はないのだけどね。(笑)まあいろいろやってるけどね。

 活動は、本をずっと描いているのと毎年イベントやってるんだけど、来年の夏は何かちょっと傾向が変わった大きな展覧会やろうと思っていて。
 それと今年は日生劇場で2日間やった芝居を作ったんだけどそれで2ケ月間つぶしちゃった。

 でも冗談抜きで大好きなんだよ、絵本を描くのが。売れても売れなくても描いているモン。だからその合間に何かをやってあとは淡々と生きています。(笑)

 きっとオレが絵を描くのも、カラスがカアカア空飛んでるのも同じことなんだよ。次元の差がないなあ、って。放っとけば描いているんだよ。だから「これを本にして出版したらなあ」って思ってたらケッコウいっちゃって。(笑)それなら「このままいっちゃお〜」って。

 午前中はだいたい寝てて、お昼位から明け方まで描いてる。朝7時のニュースはたいてい見てるよ。その生活が乱れなければ幸せなんだけど、旅行したりすると描けなくなるから「描きたいなあ」って気持ちで帰ってくるけどね。 

 でも、何日も描いてないと描いてるんだよ、いつの間にか。実際、飛行機の中でも、どこでも。あと四六時中考えてるんだよね「あんなのいいなあ」とかギャグとかさ。好きなんだよ。
 だから、よかったな。これで商売できて。(笑)
●五味さんの最新刊
上段:「あそぼうよ」「馬鹿図鑑」
下段:「だれかすんでいるのかな」「だれかがいます」
「ふゆのらくがき」「ふゆのこうさく」
本当に絵を描くことがお好きなのですね。
そう。今の世の中、みんな不自然なことしてるから遠慮して言わないけど、ホント好きで好きでやってるのね。それが普通なのに、何でみんな嫌いなことやってんだろうって思うの。
 で、聞くと「やれないですから」とか言うんだけど、オレはやらないんじゃないかと思うんだよね。

 以前そんなことを本にも書いたけど、今の子供たちの教育がダメなんじゃないかと思うわけ。不得意なものまで努力させられるでしょ。本当は、好きで得意なものなら、何でもでききゃうんだよ。鉄棒好きなヤツは一日中だって鉄棒にぶら下がってるよ。上手だしさ。

 例えば算数が不得意なら、算数的にモノを考えなくてもいいんだよ。言葉で考えていけばいい。
 でも「不得意があっちゃいけない」って意識が今、世の中で当たり前のようにある。不得意な部分を克服するためには、得意なことを伸ばすより何百倍も努力しなきゃいけないんだよ。
 そんなことしてるうちに自分の得意なモノ、好きなモノが何だか分からなくなっちゃう。そういう時間が多すぎるんだよ。

 人生は不得意なことをスイスイすり抜けてキャンセルしていくことで幸せになれるんだよ。うちの子なんかみんなすり抜けちゃって元気でやってるよ。ピース!って。(笑)

 こないだ娘に子供が生まれて、おじいさんになっちゃったんだけど、娘は得意なんだよ。子育てが。大丈夫かなって思ったけど、うまく育てててね「かわいいでしょ」ってみんなに見せて回ってんだよ。そりゃ、かわいいけどね、孫だから。(笑)

 よく育児で悩むとかいうけど、あれは不得意なんじゃないかな。結婚だってそう。「しなきゃいけない」って思っちゃう。
 不得意だからトラブルんで、でも子供の頃の教育でみんなマイナス面を埋めようとするでしょ。特に真面目な子ほどね。

 オレにシンクロナイズドスイミングやれっても、一生かかったってできる訳ないじゃん。何百年やったってムチャだろ?
 なのに克服しようと努力して、しまいにやりたいこと、得意なことも分かんなくなる。で、後になってハッ!と気づいてもノリが悪くなってるからなおさらできない。
 だから、みんな、わざわざ不幸になってるんだよ。
緑豊かな環境は子供たちの成長に関係があると思いますか。
いや、基本的には関係ないと思うよ。今は言い訳として自然のチカラがどうと言ってるだけで。それに、自然なんて森や川だけにあるんじゃないよ。この部屋にだっていっぱいあるよ。
 カビ、生えるんだよね、ここ…。でもさ、これどう見たってオレが作ったんじゃないからナチュラルでしょ。ビッシリ生えたりしてさ。「生えるな!」って言っても、生えるしね。(笑)

 梅雨とかにドア閉め切ってシトシト雨が降って、カビにとっていい状態になれば物置きかなんかに生えるじゃん。
 木だってそうだよ。環境が良ければ、ちゃんとのびのび生えるんだよ。カビも、のびのび。カラスも、のびのび。

 だから、わずらわしいことをしているのは人間であって、森とか木とか川とかって、これらを自然全体から切り離して考えていること自体、もう不自然なんだよ。

 ヨーロッパに行ったことがある人は分かると思うけど、ロシアからずっとツンドラ地帯が続くじゃん。誰もいないよな。それに誰にも使い道ないし。(笑)あれが何時間も延々と続くよね。で、スカンジナビアあたりに街が見えてきて、アムステルダムが見えてゴチャゴチャしてくるとホッとするよね。

  ツンドラ地帯なんてホント自然でしょ、生き物もいないいくらい自然でしょ。(笑)でも、そんなとこオレたちにとっては何にも価値ないのね。生きていけないし。
 だから森に木がビッシリ生えているからオッケィね、なんて結局は人間が頭で思っていることであって。人間は人間が作ったもの以外、いいとか悪いとか考えちゃダメなんだよ。
 
  木は生えてるモンなの。イイ、悪いじゃなくって、生えてるモンなの。だから生えてる木は切っちゃダメなの。
 だって木の方が先にあるんだモン。どうしても切らなきゃいけないなら、枯れるの待つの。
 でもそうしたら人間の方が先にまいっちゃうよな。(笑)
 
  だいたい木がどうのこうのって言ってる人ほど、うるさい中で「静かにしろー!」叫んでるオヤジみたい。お前がイチバン静かにしろよ、みたいなさ。(笑)
 だって人間より、木の方がスゴイに決まってんのにね。
 
 だからさ、謙虚にコソコソ生きればいいわけ。コソコソ生きれば大らかになれるの。木があったら避けて生きて行けばいいんだよ。それが真面目な生き方なの。ミミズみたいにね。
 避けないでみんな切ってきちゃったから、今こういう話をしなくちゃならないんだよ。
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