ハチの巣箱
クマ除け 5000ボルトの電流を流します
クマの害 みんな食べられてしまいました
どのようなきっかけで養蜂家になられたのですか?
いや〜、最初はラクそうな商売だなあ、って思ったんです(笑)。それで養蜂家に弟子入りしました。だってハチが採ってきたミツを集めればいいだけでしょ。
 僕は遊ぶのが大好きだから、ハチが働いてくれて人間はラクできるんだろうな、って。でもそれは大きな間違い。小さな固体程、飼育するのが難しいんです。具合が悪くなっても気が付きにくいでしょ?

 ハチにも幼虫が腐ってしまう病気とかあって家畜扱いだし、ちゃんと法定伝染病の検査もするんです。それにちょっとした農薬にもやられちゃうしね。
 今でこそ巣箱を開ければ「あ、病気かな?」とか「女王バチがいないな」とか、音と匂いで瞬時に状態が分かるようになったけど、そこまで行くのに何年もかかりましたよ。

 また、ハチは車が渋滞しただけでも騒いで死んでしまうから移動中も細心の注意が必要だったり、クマやハチタカ、スズメバチといった天敵から守ったり。スズメバチなんか何もしないと全滅させられるくらいの被害が出てしまうんです。 

 僕はハチが飛んでいるだけで気持ちがいい。いつも側にいるからね。だからクマにやられちゃったりすると「敵討ちだ!」って、鉄砲持って出かけちゃうし、スズメバチだって駆除しようとして何度も刺されましたよ。
 それで頭にきてね、マムシ酒みたいにスズメバチを焼酎に入れちゃったり。これがまた効くんです、スズメバチ酒(笑)。

 他にもハチを放すには場所の権利を買わないといけないけど独立したばかりだとなかなかいい場所もないんです。
 それに販売ルートもないから「ミツは取れない、取れても売れない」って状態が続いて。先輩に頼み込んで場所をゆずってもらったり、東京に出店してみたり。 

 若い時は本当にがむしゃらでした。でも苦しい中にも世の中の泳ぎ方がだんだん分かってきて…そうしたら、人が人を呼んでくれて。「美味しいハチミツがある」って。今では周りの人たちの方が一生懸命売ってくれるようになりました。
 ハチミツの出荷管理もみんな姪っ子任せ。だから姪なんかは自分のお給料は自分で銀行から引き出して持ってっちゃうんですよ(笑)。
北海道の広大なクローバー畑
とても希少価値のあるアザミ
白いフタを取るとトロリと素晴らしいハチミツがあらわれます
花田さんのハチミツにはたくさんのファンがいらっしゃいますが、その美味しさの秘密は何でしょう。
そうですね、ひとつは『単花ミツ』と言って一種類の花から採蜜することかな。そうすると雑味がない、花本来が持ってる美味しさを楽しむことができますよ。
 だから「その時期、その場所で、その花しか咲いていない」という条件が揃ったところにハチを放さなければいけない。

 ただ相手が自然だから、たまにアザミの花が終わる時期と菩提樹の開花が重なって、混ざっちゃうようなこともあって。
 でも、ハチは花が咲いていれば何の種類だろうとかまわず、一生懸命ミツを集めちゃうでしょ?そうなるとハチはがんばってても、僕が商品にできなくて困るんですよ(笑)。

 あと一番こだわっているのは『完熟』ハチミツ。普通はある程度ミツが巣箱に溜まると、もう人間が採ってしまうんです。でも、そのままにしておくとハチは溜まったミツを自分の羽でバタバタあおって、風や摩擦熱で水分を飛ばしちゃう。およそ1週間くらいかけてね。  それで「いいな」って頃にミツロウでふたをすんです。ハチの巣に白いふたがされているのを見たことあるかな?あれがハチミツの『完熟』した印。

 僕のハチミツはそうならないと採らないから糖度が高くなって80%以上もあるんです。このギュッと凝縮されたハチミツはハチにしか作れないでしょ。まさに自然からの贈り物だよね。

 でも、これは養蜂家にとってはタイヘンなことなんですよ。普通で2〜3回取るところを僕の場合だと1回しか取れない。
 『大流ミツ』といって花が一番ミツを出す時期でも、巣箱がミツでいっぱいになるのに1週間くらいかかっちゃう。

 取れる量が少なけりゃもうからないでしょ?しかもハチがした「ふた」をはがす手間まで増える。だからこんなこと、僕みたいなバカぐらいしかやらないんじゃないかな。(笑)
花田さんの作る「完熟蜂蜜」
花田さんのプロポリスはスゥーッとさわやかなのどごし
6種類のハチミツで、花田さんが一番お気に入りなのはどれですか?
みんな好きですよ。それぞれの良さがあるから。味も、香りも…色だってみんな違うんですよ。
 例えば、アザミの花は紫色でしょ?そのせいかな、太陽に透かすと少し紫がかって見えるんです。かといって、マロニエの花は赤いのにハチミツは白っぽい。白い花同士のクローバーやアカシア、菩提樹でもそれぞれ色が違うんです。

 また、天候が悪くて花がミツを出さない年は同じアザミでも緑っぽくなっちゃう。同じ量のミツを集めるにしても、ハチが100回まわってくるところを1000回まわらないといけいとかね。
 そうすると色が濃くなるんですよ。また、同じ時期と場所でも何回か取ってると色が違ってくるし…ハチに着く花粉のせいかもしれないけど、不思議だよね。

 また、最近話題のプロポリスなんかも面白いよね。ハチの巣は黒っぽい色をしているでしょ。これはハチが巣房に産卵する時にプロポリスをコーティングするからなんです。
 巣を作る接着剤の役目もあるんだけど、プロポリスは殺菌力が強いから無菌室のような状態にして子供を育てるんだよ。

 ハチはその材料を植物から集めてくるんです。フラボノイドなんかをね。ハチは植物からミツや巣を作る材料をもらって、その代わりに植物は受粉してもらっている。
 お互い利用しあってる。でもそれが自然なんだよね。
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